技能実習生のミャンマーでの 事前教育 の一環として、書道を取り入れています。
海外現地での事前教育は 日本語教育 のほか、日本の文化、生活習慣、マナーなど座学が中心で、毎日毎日語学の勉強ばかりすると学生もあきてきます。こういった取り組みは、毎日の研修をあきさせないための工夫でもあります。
落ち着いて字を書くことで、集中して作業ができるようにするため訓練として、書道の時間を設けています。字を書くことより習字に取り組む一連の作業を通じて、ひとつ一つの動作に気配りをできるようにするのが目的です。
床に座る生活スタイルが中心のミャンマーでは、ちゃぶだいのようなところで勉強するのが一般的です。家庭には勉強部屋はありませんから、学習机もありません。ちゃぶだいで勉強すると、どうしても姿勢が悪くなります(ミャンマーでは、寺院におまいりにいくときにはとても礼儀正しく、姿勢を正しますので、教え方としては、お寺におまいりするときの気持ちで、と教えます)。
そこで、姿勢を正して、墨をするところからはじめます。
力を入れすぎると水がはねるし、墨石はすれません。
弱い力で滑らすように墨をする力加減をやりながら覚えさせるようにしています。
次に、筆に墨を浸すと、ぽたぽた墨汁がおちるのがわかりますから、たいていの生徒は
すずりの上で、水滴を振り払おうとします。半紙の上に、墨汁のしぶきがはねます。
筆をなでるようにして、墨汁の適量を加減します。
あわせて、あちこち汚さないように、机に新聞紙をひいて養生することを教えます。
半紙がずれて、上手に筆が運べないことがわかれば、左手で隅を押さえることを教えます。
半紙の右側に字がかたよっていたり、名前を書く余白が残らなかったりするのがわかってから
最後に半紙をからだの中心にすえて左右のバランスを均等にとることを教えます。
習字をきちんとできる生徒は日本でも活躍できる
隣の人と腕がぶつからないように気を配ることなど、細かいところですが動作を通じて感じ取れる生徒、いろいろ試しながら、調整、配慮できる生徒は日本でも通用します。
習字をやらせてみて、まったく関心の持てない生徒は来日しても、よい評判は聞こえてきません。習字の時間は生徒の日本での仕事ぶりを判断する一つの試金石ともいえます。