技能実習生の選び方
はじめて、実習生の面接にミャンマーまで訪れた企業担当者の方は、技能実習生を選ぶのに苦労されます。日本での採用面接と同じようなものと思って面接されましても技能実習生は意思疎通できるほど言葉が通じませんので、誰を選んでよいのか、迷われるようです。どの顔もおなじように見えますし、自己紹介なども同じようなこといいますので、どうしても声が大きい人が選ばれる確率が高くなります。
「習字をきちんとできる生徒は日本でも活躍できる」
の記事でもお伝えしていますが、技能実習生希望者に事前教育の一環として習字を取り入れて生徒の見極めに生かしておりますので、技能実習生選考のヒント になれば幸いです。
日本では字をみれば、書いた人の人柄がわかるといわれますが、日本で技能実習生として働くことを希望するミャンマーの生徒(技能実習生候補)に習字をさせてみると、性格がよくわかります。もちろん他の作業、課題でも日本で通用するかどうか調べる方法はありますが、過去の経験がまったく通用しない、未経験課題を与えることで生徒の行動が手に取るようにわかります。
それなりに日本語の学習が進まないと、文字に意味がある(表意文字)漢字の面白さに生徒が気づくところまでたどりつけません。そのため、日本語学習の初期段階で、習字の課題を生徒に与えると、はなから苦手意識をもって拒否反応を示す者もいます。
ミャンマー語は、英語のアルファベットではなく、独自のミャンマー文字を使っています。ミャンマーでは中国語、日本語は難しいけれど、韓国語は簡単だといわれます(ミャンマーでは韓国に実習生として派遣される若者もたくさんいます、韓国は日本よりもことばの習得を重視しており、韓国へ渡航する飛行機の中でも直前まで教科書を開いて勉強している者もいます)。韓国から輸入された中古バスにはられたラッピング広告を見て、ハングル文字を読む子もいます。
面接では見ることができない、生徒の素顔
「書けばよい」ということで、ほかの生徒が半紙の半分も書き終わらないうちに、次から次へとかきなぐる生徒。出来ばえを確認したり、見返す習慣を持たない生徒は、仕事は早いかもしれませんが、ミスも多そうです。
課題文字を書けるようになったら、ほかの字を書いてみたいと思う生徒、このような生徒は日本でも教えがいがあると喜ばれるかと思います。
そつなくこなせる、とりかかるのが早い生徒。初物に強い生徒、見よう見まねですぐに手を動かせるタイプは、溶接や組立てのように都度、作業内容や対象物がかわる職場、建設のように作業現場の移動があるなど、作業内容が変化に富んだ職場向きといえそうです。
じっくり、ゆっくり、でも手が遅いわけではない生徒。観察力があり、教えなくても、お手本に近づくように文字のバランスなどチェックできるような生徒は、検品や品質管理作業を重視される職場や食品関連の職場、流れ作業などひとつの作業を丹念にこなしたり、周囲の作業スピードにあわせながら仕事をする場面で能力を発揮できそうです。
ほかの生徒の様子を見て、すぐにとりかかれない生徒。課題を与えられて、手を動かせない人は、日本での実習は不向きといえます。
習字を通じて、PDCAサイクルの基礎を理解してもらえたらうれしい限りですが、見よう見まねでもよいので、とにかく一度トライして、うまくいったかどうか見返す習慣を身につけられるように技能実習生(候補者含む)を指導しています。